My Life In The Bay Area

シリコンバレー在住IT企業に勤める日本人が発信する日常生活

アメリカ選挙:トランプが当選した怒涛の週を振り返って

何という一週間だったのだろう。

怒涛の一週間だった。正直、疲れ切った。

選挙が行われた火曜日から、様々な情報や意見を吸収して、色々な感情が湧き出て、なかなか気持ちの整理ができなくて、まだ考えがまとまっていない部分もあるのだが、これまでの経過を振り返ってみたい。自分の中で今考えていることや、アメリカの現地の反応を少しでもお伝えできれば、と思う。

選挙前を振り返って(月曜日、火曜日)
カリフォルニアでは(少なくとも私の周りでは)ヒラリー支持ばかりだった。選挙の前日は、緊張や恐れはあったものの、ワクワクする気持ちもあったと思う。様々なメディアがヒラリーの勝利を予想していたし、彼女が勝つのではという気持ちが自分の中にあったのだろう。いつもよりオフィスを早く出て、「選挙の結果見なきゃ!では明日ね!」といった時には、まさか今のような結果になるとは予想していなかったし、私の周りでも、この時点では期待や希望が感じ取れたと思う。

選挙の結果が報道されるにつれて・・・(火曜日夜)
西海岸の16時や17時くらいから、少しずつ結果が報道されていった。夕食を作りながら報道を見ていたときはまだ早すぎるし、きっとこれからヒラリーが追い上げていくのだと思い込んでいた。

しかし・・・

予想通りの州でヒラリーやトランプが勝利していくのは分かっていたが、フロリダやオハイオなどのSwing State (激戦州)の結果が報告されるについて、だんだん希望が恐怖に変わっていくのが分かった。1%くらいの差でどんどん結果が変わっていく。しかし、その後大半は赤に変わっていった。まだヒラリーが勝利する可能性はあるだろうと思っていたが、その予想とは反対に次々にトランプが勝利していった。

もしかして・・・

ここからだんだんトランプ勝利の可能性を考えるようになった。気になってチャンネルを変えたり、オンラインのニュースを見てみた。ヒラリーの勝利を予想していたメディアがトランプ勝利に方向転換をしたり、テレビでも「トランプが勢いを増しています」との報道が多くなった。

22時くらいになるとだんだん結果が分かってきたような気がして、ショックに包まれた。友達とこの結果についてたくさんメッセージのやりとりが行われた。多くの友達がショックと悲しみを示していた。ニューヨークのタイムズスクエアでの生放送は、お祝いの準備をしていたが、それとは裏腹にしーんとしていて、帰る人も多かったようだ。まだ結果はでていないし、明日の朝には変わっているのではないかと思ったが、23時半くらいにはもうその可能性はないと思い、トランプの演説が始まる前に眠ることにした。

選挙の後(水曜日)
朝起きて、トランプの勝利が確定したときは、まだ信じられなかった。でも、選挙は終わった。オフィスに行くと、今までになく、しーーーんと静まり返っていた。皆の表情は暗かった。いつもは”How are you?”と聞かれると、”Good”とか同様のポジティブな返事が返ってくるが、この日は違った。皆、”How are you?”と聞かれても返す言葉がなかった。

その後、選挙の結果を話し合うための機会がいくつか設けられた。このとき多くの人から様々な感情が湧き出てきた。落胆、怒り、ショックに包まれた。泣いている人もいた。同時多発テロ以来の衝撃だと言っている人もいた。アメリカがいかに分裂しているか、議会が共和党寄りになる影響、移民やマイノリティーへの影響、今後何が起こるかわからない不安などの意見や感情が共有された。外国人としてアメリカで働く身として、私も不安を隠せなかった。

このように自分の意見や感情を共有し、今後具体的に何ができるか話し合い、アクションにつなげることができる環境には本当に感謝した。皆が政治に関してこれだけ熱心に率直に話せるーこれがアメリカならではだな、と感じる出来事でもあった。どうしようもない感情が、少しずつ、チームの皆や友達と話すにつれて整理できてきたような気がするのだ。

ここ数日の変化(木曜日〜今)
トランプは民主的な方法で当選した(選挙のシステムには色々疑問は残るが)。その事実は変わりない。まず、その事実は受け止めるべきだ。その上で、今後気をつけていきたい、あるいはアクションをとりたいと思ったことを最後にいくつか挙げていきたい。

1.自分以外の意見をより理解する
まず、トランプに投票した人の意見をより深く聞く必要があると思う。なぜこれだけ多くの人がトランプに投票したのだろうか。実際、今回多くの人がトランプの勝利を予想できなかった。私が住むカリフォルニアや東海岸にいる友達など、周りの意見がヒラリー支持ばかりだったからか、それが大多数の意見だと思い込んでしまっていた。

思い返せば、私は今まで物事を多角的にとらえたり、様々な角度から理解することを最も重要とする軸として生きてきた。教科書で習ったアメリカの歴史だけにとどまらず、女性やアフリカン・アメリカンの歴史を学ぶ、同時多発テロの後にはアメリカ研究の授業だけでなく、イスラム研究の授業もとったりと、双方の立場を学ぼうとしてきた。

アメリカは一つの国だが、異なる人種・宗教・政治観念の人が集まっており、それぞれが異なる意見をもつのは当たり前だ。しかし、お互いの立場に100%賛同する必要はないが、少しでも他人の意見を理解しようとする姿勢がないと、分裂したままで歩みよることができない。同じ意見の人と意見交換するだけになってしまう。トランプ側の声・意見を少しでも理解しようとしたり、耳を傾けなければ、今後何も変わらないし、分裂したまま・対立したままになってしまう。

2. 身の回りで差別的行為を見つけたら、そのままにしない
トランプの言っていることが、実際どれだけ実現するかは分からない。アメリカとメキシコの間に壁を作るのか、ビザの取り締まりがどれだけ厳しくなるのか、保険や同性婚、中絶など、一体何が起こるかわからない。もしかしたら、思ったよりも過激な動きはないかもしれない。

ただ、当選したばかりのトランプの悪影響が各地で見られているのは確かだ。アメリカ各地でヘイトクライムが急増している。ペンシルバニア大学では黒人の学生がGroupMe(グループメッセージのアプリ)に追加され、差別的発言をされたりリンチすると脅された。イスラム系の女性は怖くてヒジャブ(スカーフ)を被ることができないと言っている人もいる。ノースカロライナではKKKの集会が予定されている。今までに数々の差別的発言をしてきたトランプを聞いて、このような発言をする彼の支持者が増えているのではないか。まだ大統領に当選したばかりでこのような悪影響がでているのは悲しいし許せない。

これに対して、ヘイトクライムに遭遇した人を見た場合の対処法などが載っていた。人種差別、性差別などのトピックはセンシティブな場合もあり、見て見ぬふりをしてしまうこともあるかもしれない。しかし、黙っているのではなく、周りにヘイトクライムに遭遇した人がいたらサポートを示す、現場で助けられる場合は助ける、もし無意識で行っている人がいれば注意するなど、勇気をもって声をあげることが大切だと思うのだ。

3. 他の人と意見を交わすプラットフォームを提供し続ける
先に述べたように、自分の意見を共有しディスカッションし続けていくことは重要だ。今回の選挙を受けて、様々な思いをアクションにする動きがでている。自分のコミュニティに対してボランティアをする、寄付をする、何かしらのサポートを提供する。こういったアイディアは他の人とディスカッションしたから実現することも多い。対話を選挙後だけにとどまらず、今後も続けていかなければならない。

(Visited 491 times, 1 visits today)
facebooktwittergoogle_plusredditpinterestlinkedintumblrmailfacebooktwittergoogle_plusredditpinterestlinkedintumblrmail

Previous

アメリカで身を守るために気をつけている事 ー 護身術のクラス、服装、バーでのドリンク

2 Comments

  1. 日本にいても、トランプさんの勝利は驚きでした。しかし、1週間すぎて、トランプさんも選挙運動モードから政策実行モードに移行するにつれて、現実的な行動をとりだしたようで、世界中が今後の具体的な政策を注視している段階だと思います。
    選挙中はとにかくマスメディアに露出する頻度を可能な限り多くするために過激な言葉を発し、メディアもその作戦にまんまとひっかり、トランプ戦術は大成功でした。さらにクリントンさんまでその戦術にひっかかり、冷静に自分の政策を国民に訴えるべき時に、トランプさんの挑発にのって、非難合戦をやってしまいました。
    私も40年前にメンロパークに住んでいて、カリフォルニアのリベラルな雰囲気が大好きな人間ですが、2004年に退職してから、共和党支持者の多いアメリカ西部、中西部の田舎をドライブしていて、そういった州の「州民性」も知りました。
    いずれにしても、そのアメリカに住んでおられる貴方を心からうらやましく思います。在米中に大いにそちらでの生活をエンジョイしてください。

    • 3kki

      Michiさん、いつもブログを読んでくださり、そしてコメントを残してくださりありがとうございます!私はベイエリア以外で遊びに行くところはリベラルな州が多いのですが、他の州を訪れ、それぞれの州の雰囲気を感じ取るのはとても大事なことだと思います。選挙からあっという間に時間が経ち、就任式が近づいているようですね。どちらにしろ、この波乱に満ちた選挙期間をアメリカで経験できたのは、貴重だったのかもしれません。

Leave a Reply

Powered by WordPress & Theme by Anders Norén